ハイイロハリバエのマツカレハに対する寄生の周年経過
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概要
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マツカレハ幼虫・繭の定期的採集と飼育および野外実験・観察にもとづき, ハイイロハリバエの産卵攻撃と寄主からの脱出の周年経過を調査した。ハリバエ成虫はマツカレハ1齢幼虫が出現する9月上旬から10月下旬にわたって寄主幼虫に産卵攻撃した。この期間に寄主体内に侵入したハリバエ幼虫の大部分はそのまま越冬し, 翌春4月下旬〜5月下旬に寄主の6,7齢幼虫から脱出した。その後ハイイロハリバエは, 6月中旬までに再びマツカレハ幼虫に寄生し, 7月中旬以降に寄主の前蛹期に脱出した。6月中旬以降, 野外にハリバエ成虫の存在が確認されたにもかかわらず, 本種のマツカレハ老熟幼虫に対する寄生は認められなかった。しかし, 本種は7月中旬以降マツカレハ繭に産卵攻撃し, 寄主の高い死亡率をもたらした。マツカレハに対するハイイロハリバエの寄生の周年経過が, ハリバエと他寄主との関係を含めて, 図式的に示された。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1978-12-25