北海道におけるLachnellula属菌によるストローブマツとハイマツのがんしゅ病
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概要
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近年, 北海道内のストローブマツ幼齢造林地, 自生のハイマツ林にLachnellula属菌によるがんしゅ病が発生している。この病原菌として, Lachnellula calyciformis(WILLD.ex FR.)DHARNE, L.abietis(KARST.)DENNIS, L.pini(BRUNCH.)DENNISの3種を確認した。これら五葉マツ類がんしゅ病の被害地は高海抜の年最高積雪が2m以上の地域に分布する。L.calyciformis, L.abietisは麦芽およびジャガイモ寒天培地で, L.piniはワックスマン寒天培地で良く発育する。またL.calyciformis, L.abietisは殺菌枝, 培地上に子のう盤, 柄子殻を形成するが, L.piniはジャガイモ寒天培地上にmicroconidiaをわずかに形成する。分生胞子は麦芽培地上で良く発芽する。接種試験では, いずれの種類も越冬後に病斑を拡大し, L.abietisは病斑上に子のう盤, 柄子殻をL.piniは子のう盤のみを形成した。これらの実験と観察の結果, この3種の菌はいずれもストローブマツおよびハイマツのがんしゅ病病原菌である。長い積雪下の暗黒過湿の条件および雪圧によって生ずる傷の形成が, これら五葉マツ類がんしゅ病の発生誘因と考えられる。
- 1979-06-25
著者
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