林木のカルシウム代謝に関する研究 II : ポプラさし木苗のカルシウム上昇におよぼす温度の影響について
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概要
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一般にカルシウム(Ca)は植物体内において蒸散流とともに上昇することが知られてきた。しかし木質部から樹皮部をとおって葉部におよぶCaの横移動については蒸散流とともに当該部のmetabolic activitiesが多分に影響するように考えられる。本研究は10℃と30℃におけるポプラ中のCaの動きならびに分布について^<45>Caをtracerとして, Caを各Fraction別に分劃定量することによって, その量的な変動を追究検討したものである。なお, 別個に植物全体についての変動を調べ, この面からも両温度による吸収量の差異を知るとともに, 30℃の実験においては前報における結果を追試することにした。Caの分劃はポプラの各部におけるmetabolic activitiesの程度を判定する目的でおこなったものである。その結果, つぎのようなことがわかった。1.30℃においては10℃の場合よりも^<45>Ca施与後の短時日に, 旺盛な^<45>Caの吸収の起ることが認められた。これらの事実から本実験においては木質部→樹皮部→葉柄部→葉部の移動の場合に温度による影響の現われることが認められた。2.10℃の場合, 葉部においてはCaの異化作用は活発におこなわれないで当部のmetabolic activitiesの低いことが認められた。3.一般に植物に含まれるCaをFraction別にみるとH_2O抽出部(F-I)が多量に現われるといわれているが, 本実験では1N NaCl抽出部(F-II)が多量に認められた。これは木本科植物における特色の一つとも考えられること以外に, 吸収初期ではH_2O抽出部よりもNaCl抽出部で多量に現われるのではないかと考えられる。4.葉部においては他部に比較してF-IからF-IIへの変化がきわめて速やかである。また, これらのFractionは上葉部および尖端部で活発に変動した。したがってmetabolic activitiesの程度はF-I, F-IIからF-III, F-IVへの変動の推移状態を確かめることによって推定が可能なように思われる。5.第I報と同様にCaがその最大集積葉を中心に集積する事実のあることを観察した。6.葉柄部および樹皮部においては^<45>Caはほとんど同じようなFractionに分布していた。そしてF-I, IIで全体の放射能の80%以上を占めており, その分化の程度は上方ほど旺盛であった。また, 一般に30℃の方がより活発な変化のおこなわれることを観察した。
- 1964-10-25
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