植物タンニンの紫外部吸収スペクトルに関する研究(I) : 典型的タンニンの精製
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概要
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植物タンニンには大別して3つの型が与えられているが, これらのタンニン材料中の典型的なタンニンについて紫外部吸収曲線をとつて見て, それぞれ特徴的な曲線を示すことがわかつた。この実験で典型タンニンとして使用した材料は次のものである。加水分解性タンニン(ガロタンニン)-Rhus javanica L.の虫えい(ウルシ科)=五倍子エキス, 加水分解性タンニン(エラーグタンニン)=Quercus dentata THUNB.の樹皮(ブナ科)=カシワ樹皮エキス 縮合型タンニン-Acacia decurrens Willd var. mollis LINDL.の樹皮(マメ科)=ワツトル樹皮エキス 吸収スペクトルの測定には蒸留水を用い0.001%の試料濃度としN/10 HClでpH 2.0に調整した。測定結果は五倍子エキスは極大値および極小値はそれぞれ277 mμおよび243 mμ, カシワ樹皮エキスは275 mμおよび260 mμであり, ワツトル樹皮 エキスは278 mμおよび258 mμであつた。これらのタンニンの精製による吸収曲線の変移性をしらべた結果ではそれぞれの特徴的な吸収曲線型は殆んど影響を受けなかつた。この結果は紫外部吸収スペクトル法を植物タンニンの分類に利用することの可能性を示唆するものである。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1961-06-25
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