任意期間の降水量に対応する合理的流出量
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概要
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年雨量1500mmないし1400mm程度の地方において, 年雨量と年流出量との関係はほぼ直線的でしかも年雨量から年流出量を差引いた年損失量はほぼ一定であるとみなされることはすでに多くの資料によつて明らかにされている。一方年雨量1500mm以下の場合の流出量は直線的でなく原点を通過する凹曲線状の変化をすることが考えられる。すなわちこの部分では損失量は一定とならず雨量に応じて変化すると考えられるのである。詳しく云えば損失量が蒸散およば蒸発に基くものとすれば, 雨量が次第に小さくなるとき-すなわち流域内に停滞し貯溜される水分が次第に小さくなるとき-は損失量も次第に小さくなることが容易に考えられるのである。このことは任意の期間たとえば月流出量についても同様であつて, 第4図にみ出される結果は上記の推測を裏づけるものと思われる。なお夏季の損失量が冬期の損失量に比して大きいことも予想通りである。極く大略の値として, 月降水量100mm以下の場合, 損失量は降水量の50%(冬)ないし70%(夏)であり, この損失率は雨量の増加とともに減少する。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1955-02-25
著者
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