宮崎地方薪炭林施業の改善に関する研究(第10報)
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概要
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宮崎地方の老令広葉樹天然林(用材林)はシイ類カシ類タブ其他を混交する薪炭林と同じく多種の樹種を有し複層林型を呈しているが, 林冠層を区分してその混交樹種を見るに両者には相異が認められ, 特に優勢木において前者は炭材として優良な陰性の成長緩慢なイチイガシ, イスノキ, ウラジロガシ, アカガシ等が多い。後者はコジイを主とした林分が多い。被圧木には両者ともヒサカキ, イスノキ, サザンカ, ネズミモチ, ヤブツバキ, サカキ等がよく混生しているが前者にはアオガシ, シロダモ, ヤブニツケイが多数現出し, 後者はカシ類が多い。老令林は材積令で100〜300年程度と推定されるが老令樹は上層に分布し下層には幼令壮令の林木が後継樹として存立し, これらは現在及び過去の優勢木の下で継続的に天然下種により更新してきたものと思われる。而して各層にわたつて寿命の長い陰性の樹種を混交し, 本地方ではほぼ植生の安定した極盛相であると思われ, 人為, 気象等による破壊がなければ将来とも現在の林相を保持してゆくであろう。一方薪炭林は長期にわたり自然の経過に委せれば植生が推移して炭材として優良な樹種を主とする老令林に変移するものと推察されるが, 現況伐期が短く皆伐によつており, むしろ陽性の樹種に推移する傾向にあるので適当な人為的操作によつて優良林への誘導を企図すべきものと考える。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1955-12-25
著者
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