ケヤキ3系統の材質にかかわる組織構造的特性
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概要
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九州日田地方では, ケヤキはアカゲヤキ, アオゲヤキおよびザクゲヤキと大略区分されて取引が行われ, 利用されている。これら3系統のケヤキについて, 木冂面の簡易プレパラート標本を作成し, 組織構造, 特に道管要素を主として系統間差異を追求した。この結果, アカゲヤキ系統は, アオゲヤキ系統に比べて, 道管要素率が有意に高く(p<0.01), 容積密度数は有意に小さかった(p<0.01)。年輪幅は, アカゲヤキ系統では小さく, 変動も少なかった。これらのことから, アカゲヤキ系統は, 道管要素率が高く, 材中に空隙量の多い軽軟な材質をもつ系統とみなされた。一方, アオゲヤキ系統は, 道管要素率が低く, 木部繊維の比率が高く, 材中の空隙が少ない, 緻密堅硬な材質をもつ系統とされた。ザクゲヤキ系統は, アカゲヤキ系とアオゲヤキ系の中間的な組織構造をもつタイプとされたが, 木部繊維部に空隙量の多いことが特徴とされた。これらの結果から, 従来経験的に判別されてきたケヤキの系統区分は, 組織構造的にも妥当性のあるものと証拠づけられた。
- 日本森林学会の論文
- 2000-02-16
著者
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