亜硫酸ガスに対するアカマツ針葉の組織学的な反応
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概要
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SO_2ガスに対して, アカマツ当年生葉の各組織が示す反応の差を明らかにする目的で, 2年生アカマツ苗を, 2ppm濃度のSO_2ガスで12時間くん煙した。SO_2ガスに対する最初の反応として, 原形質分離が, 気孔周辺の葉肉細胞に観察された。この反応が観察されたのは, 針葉上に可視被害が発現する以前であった。なお, 可視被害発現後, 気孔周辺の葉肉細胞の壊死が認められた。くん煙時間の経過とともに, 針葉は急性害症状を呈し, 気孔周辺に限られていた葉肉細胞の壊死は, 内皮に向かって直線的に進展した。この反応に続いて, 内皮, 移入組織の細胞にも変形が観察された。しかしこのような被害の進展は, 葉肉断面の一部分に限られ, ほかの部分では, 葉肉細胞の異常は認められなかった。なお, 9時間以上のくん煙では, ほとんどすべての葉肉細胞に壊死が観察された。くん煙開始後12時間目には, 針葉の全長に煙斑が拡がったが, 表皮, 下皮, 樹脂道, 木部の各細胞には, 異常は認められなかった。また, 師部細胞に異常が認められることは少なかった。
- 1975-09-25