小石川樹木実験圃場における白紋羽病の被害と発生環境
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概要
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1976〜1979年の4年間, 東京大学農学部小石川樹木実験圃場において樹木の白紋羽病被害の発生状況について調査を行った。ヤマナラシの生枝による菌の捕捉調査および被害木の分布状態から本圃場には白紋羽病菌(Rosellini anecatrix)が広く分布していることが判明した。調査期間中に45科158種の樹木で発病が観察されたが, そのうち135種が未記録の新宿主であった。発病樹種のなかでは, トチノキ, ブナ, ウメモドキ等では被害木の発生本数が多かった。一方, コウヨウザン, シュロ, クマザサ等では, 土壌中で本菌の生息が確認された位置にありながらまったく被害が発生しなかった。被害は根元直径2cm以下, 樹高1.5m以下の幼樹に集中してみられ, 夏期に発生が多かった。本圃場では, 1960年代に導入改良ポプラ類の系統保存が行われたが, その際本病に罹病した根が未処理のまま残された。このときのポプラ植栽位置と今回罹病個体が集中して認められた位置とがきわめてよく一致するところから, これら罹病ポプラの残根が本圃場での白紋羽病の発生源となり, さらにそこから若齢の植栽樹に被害が拡大したものと推測された。
- 日本森林学会の論文
- 1984-07-25