スギ種子産地と寒害抵抗性
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概要
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スギ種子産地間の寒害抵抗性の違いについて, 東北地方の主要天然分布地帯のミショウ集団を主体とし, 一部造林地を含む20の産地を用いて観察した。林業試験場目黒苗畑に播種し, 浅川苗畑で床替養苗した2年生苗を寒害発生の常習地といわれる茨城県鯉淵苗畑に植栽し, 被害の程度を調べた。被害率は, 屋久島産を別とすれば, 冬期間雪の多い裏日本産に高く, 表日本の雪の少ない寒冷地帯産は一般に高い抵抗性を示した。このことは, 裏日本では多雪地帯であるため, 表日本に比較し乾燥性の寒さに対して選択されにくいことを示すものと考えられる。裏日本の各産地は全般に苗高が小さく, 表日本産は大きかった。すなわち, 産地ごとにみれば, 苗高の大きいグループが耐寒性も大きく, 苗高の小さいグループが耐寒性も低い傾向を示したが, 産地内では苗木の大きさと抵抗性との相関は認められなかった。形状比については, 極端な伸長型や矮小型より直径に対応した苗高をもつ苗木が抵抗性を示す傾向がみられた。針葉型と耐寒性との関連がしばしば報告されているが, 本試験ではその関係は明らかでなかった。供試材料が幼形から成葉に移る前であるため, 適用した葉型分類が適切でなかったものと考えられ, さらに検討を必要とする。
- 日本森林学会の論文
- 1974-06-25
著者
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