スギのよせ植えによる凍害防止効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
スギの凍害は, わが国では, 山間部の低凹地, 斜面下部のような低温気流のたまりやすいところのほかに, 広い平坦台地や南面斜面にも発生することが, 九州をはじめ, 全国的に確認されている。このうち, 後二者の地形における凍害防止法として, 上木による保護効果と, 幹下半部の被覆効果がある。この試験は, 幹下半部の被覆効果を対象として, 保護限界のしゃへい度を定量的につかむため, 植栽間隔をかえて, しゃへい度と被害との関係を求めた。試験地は, スギ凍害の常習地である, 茨城県東茨城郡内原町字鯉淵にある茨城県営鯉淵苗畑内に設定, 苗木は, クモトオシの2年生および3年生苗を用い, 1967年4月に植付けた。苗木の配置は, 半径が逐増する8コの同心円を作り, その円周を24方位に分けて, その交点に植栽することにした。この同心円の半径は, 内側から, 0.8,1.2,1.7,2.4,3.4,4.9,7.0,10.0mとした。この円を8組設定した。ただし, 3年生苗は, 半円状とし, 同心円は7ことした。1967年11月から翌年5月まで, 凍害発生の状況を観察調査した。幹下半部におけるしゃへい度は, 示差放射計で純放射量を測定して算出した。その結果はつぎのとおりである。(1)2年生苗は, 苗高57〜75cmになり, 第1円はほぼ完全に, 第2円は大部分が枯死をまぬがれた。植栽間隔20〜30cmまでは, 80〜90%が生存した。(2)3年生苗は, 苗高85〜120cmとなり, 第1,2,3円の大部分は枯損をまぬがれ, 第4円の多くのものも生存した。植栽間隔が40〜70cmであれば, 80〜90%生存した。(3)苗木の大きさ, 植栽間隔が異なっても, しゃへい度と生存率の関係は一つの曲線で表示できるようだ。しゃへい度40%までは, 約90%の苗木が生存可能であったが, しゃへい度が40%以下になると, 生存率は急速に低下した。
- 1970-04-25
著者
関連論文
- スギのよせ植えによる凍害防止効果
- I. 林業学
- IV.造林(1955年における林学研究の動向)
- 第13回林木生理シンポジウム : 林木生理研究の方向
- シンポジュウム
- 熊谷の晩霜について
- 林野火災の現地調査について
- 水分条件の違う土じょうに移植されたスギ苗の遊離アミノ酸量の変化
- 雲霧帯高度の推定法について
- スギ種子産地と寒害抵抗性
- 314. 寒候期におけるスギ幼齡木の樹温の変化(第76回日本林学会大会講演要旨)
- 第4回林木生理シンポジュウム
- III.立地(1955年における林学研究の動向)
- 無給水条件におかれたスギ苗の葉位別乾燥経過
- 331 移植前後における苗木の代謝生理 : スギ苗の春移植における2,3の実験(第77回日本林学会大会講演要旨)
- 132. 9月のスギ苗切枝のみかけの炭酸同化量と温度, 照度との関係(第75回日本林学会大会講演要旨)
- 614. スギ一年生苗の冬の同化量および呼吸量と温度, 照度との関係について(第74回日本林学会大会講演要旨)
- 602.乾燥および湛水状態においたスギ, アカマツ, カラマツ菌の炭酸同化量と呼吸量の変化(第72回日本林学会大会)
- アカマツと他樹種との二段林経営(第3報)
- アカマツと他樹種との二段林経営(第2報)
- アカマツと他樹種との二段林経営(第1報)
- 山地の年平均気温推定方法について
- 前橋営林局管内の寒害被害面積と,前橋における二・三の気象要素との関係
- 温量指数と緯度・高度との関係
- 愛媛県に於ける水稲の豊凶と気温の日較差について
- 討論(林木の寒害)
- 標本調査によるスギの単木および林分枝葉量の推定
- 植栽密度を異にするカラマツ幼令林分の解析(予報)
- 地中30〜50cmの年平均地温と緯度・高度との関係
- 北緯36°における北偏斜面の日射係数
- (1) スギ, ヒノキの凍害(第3回林木生理シンポジユウム)
- 4.森林火災(F.防災)(1959年における林学研究の動向)
- ○任意地点の月平均気温(累年平均値)の推定法 : 気象庁統計課 気象庁技術報告, 第2号, 気象庁, 東京, 33p, 12PL, 1960
- 北関東におけるスギ, ヒノキの寒害について(1) : 斜面の方位および傾斜角と土壤凍結深度との関係についての一観測結果
- ○季節風, 根本順吉・倉嶋一厚・吉野正敏・沼田真共著, 昭和34年10月発行, 地人書館, 294頁, 390円
- 斜面の受ける日射量を求める簡単な一方法
- ○南西地方のポンデローザパイン林における生態学的因子としての火事
- 昭和27年千葉県下に発生したスギ幼令林の凍害について
- スギの寒風害発生危険地域区分の一つの試み : 群馬県の場合
- 火入の一例
- 森林の百科事典, 太田猛彦・北村昌美・熊崎実・鈴木和夫・須藤彰司・只木良也・藤森隆郎編, 「森林の百科事典」, 丸善株式会社, 東京, 1996年, 826ページ, 定価18,900円(税込み)
- 木材新用途の開発と実用化への始動--技術研究組合の設立
- 造林地の寒害はどんな状態でおこるか
- ソ連の農林関係研究所を訪問して
- 林木生理シンポジウム (第77回日本林学会大会探訪)
- スギの造林地の寒害は防げるか
- 3.移植と林木生理 : 移植にともなう苗木の衰弱(第10回林木生理シンポジウム)("異常環境と林木生理")
- 409 大植穴植栽と苗木の活着生長(第78回日本林学会大会)
- 第5回森林立地懇話会シンポジウム
- 109. 土壌耕起と造林木の活着と生長(予報)(第76回日本林学会大会講演要旨)
- ○ヒマワリの生長と物質代謝におよぼすカリ欠乏の影響
- ○Black mastard(アブラナ属の1種)の生長と物質代謝におよぼす燐酸欠乏の影響
- ○雨による樹冠からの植物養分の流下
- ○畑作物の湿害に関する土壤化学的並に植物生理学的研究
- 21世紀にむけての林業技術の展望 (農林水産技術革新の展望)
- 木材性能向上技術研究組合の発足 (ス-パ-ウッドの時代) -- (新技術の開発と展望)
- 木材成分総合利用,木材炭化成分多用途利用技術研究組合の設立以来の動き
- 木材成分の多用途利用にいどむ
- 樹木の葉に異常徴候が発現する大気中二酸化硫黄濃度とくん煙時間との関係
- 林業技術の問題
- 第9回林木生理シンポジウム
- 木材炭化成分多用途利用技術研究の成果と展望 (木材・木質資源利用の技術開発をめぐる動き) -- (技術研究組合における木材・木質資源利用技術の研究動向)
- 森林バイオマスの利用計画 (森林バイオマスとその利用)
- これからの林業研究について (森林・林業のこの1年)
- 国立林業試験場における試験研究の動向
- スギの耐凍性変動におよぼす温度の影響
- スギの凍害におよぼす日射の影響
- 樹幹の耐凍性
- 335 スギの凍害に関する研究(II) : 凍害多発地帯の小気候(S)(第78回日本林学会大会)
- 334 スギの凍害に関する研究(I) : 胴枯型凍害の発生時期(S)(第78回日本林学会大会)
- 簡単な積算蒸発計の試作
- 斜面気温の一特性
- 昭和31年4月30日に愛知県下に発生した森林の凍霜害(第2報)
- 一気象やの感じたこと
- 任意の斜面が受ける日射量の計算方法について
- 自記温度計を利用し, 低温室の温度を任意に降温または昇温させる簡単な自動操縱装置の一試作
- 昭和25年東京における桜(ソメイヨシノ)の開花について
- 関東地区民間苗畑産スギ, ヒノキの苗木に含まれる無機養分元素について
- スギの苗畑における風速の垂直分布と粗度径数
- 夏季の気象特に気団及び梅雨前線が本邦の水稲の豊凶(特に凶冷不作)に及ぼす影響について
- 熊谷の晩霜について
- 静岡県中伊豆町の山火事(火入からの火災)について
- 立木の燃焼
- 森林火災と気象
- 雪害発生の気象要因 ("56年豪雪災"を顧みる)
- 森林火災の研究-1-
- 森林火災の二,三の特性
- 造林地の寒害とその防除法(森林と災害シリーズ-完-)
- 静岡県中伊豆町の山火事について
- 赤倉付近の冬季の気温逓減率について
- 昭和31年4月30日に発生した愛知県における森林の凍霜害について
- 昭和30年7月高萩営林署管内に発生した煙害に関する調査報告
- 福岡に於ける異常気温
- 同位元素とその應用