琉球諸島の非火山性黒色土について

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琉球諸島に属する石垣島の南東部平坦面のなかに点在する, 標高120〜150mの島状山地の山頂緩斜面に, 本土の黒色土と類似の形態をもった土壌が小面積であるが認められた。この土壌のA層とB層の境は明りょうであり, 両層ともに堅果状構造の発達が著しい。基盤は古世代の結晶片岩であるが, 断面内にはチャートを含む洪積層起源の円礫が多く, ことにA-(B), B-C_1層にはすこぶる多く, 母材は洪積世の運積物が主になっていることが推定された。一般的化学性は本土の火山性黒色土に比べ, 炭素含有量が低く, 塩基飽和度とくにMg飽和度が高く燐酸吸収係数が低く, 他の性質にはあまり大きな違いは見られなかった。腐植酸の含有率, C_H/C_Fの値とも大きく, 本土の黒色土と近似の値を示し, 腐植酸のΔlogK400〜Δlog600は小さく, R_fは大きく, 腐植化度がかなり進行しており, 腐植酸の光学的性質からも, 本土の黒色土と同様の傾向が認められた。これら腐植の性質から, この土壌は黒色土に包含されることがうかがえた。砂の鉱物組成は, 結晶片岩片が6割以上を占め, 残りを石英, 長石類, 雲母などが占め, 結晶片岩が母材の主体をなし, 花こう岩に起因したものも含まれていることが推察された。なお, 火山ガラス等, 火山性の特徴を示す鉱物は全く見られなかった。粘土鉱物のDTA曲線では, ハロイサイトの吸熱ピークが大きく, さらにギブサイトによるものがわずかに見られたが, 本土の黒色土壌で通常みられる, アロフェンの吸熱ビークは全くなく, 火山灰の影響が全くない黒色土と判断された。
1974-01-25

琉球諸島の非火山性黒色土について

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