IBDU成形品の林地施肥に関する研究(I) : IBDU成形品の性質とヒノキの植栽時における肥効
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概要
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林地肥培の省力化を目的として, 筆者等は, 緩効性窒素肥料であるIBDU(Isobutylidene Diurea)の持つ粒効果の特長, つまり粒径が大きくなるほど溶出速度が小さくなる性質を利用した長期肥効持続肥料を開発し, これを植栽の時, 普通肥料の2〜3年または4〜5年分に相当する量を植え穴に一時に施用し, その後の追肥を省略する試験を実施したものである。供試した3種の新肥料は, ブリケットマシンを利用して3種類の大きさ(それぞれ1個当り40g, 5g, 0.2g)に物理的に成形したものである。これらについて, 土中溶出試験, およびヒノキの3年生苗による植栽試験等5年間にわたる試験を開始し, 現在2年を経過したが, 以下に述べるように良好な結果が得られ, 新しい植林用肥料としての知見が得られたので, 途中経過をとりまとめて報告する。1)速効性肥料を多量施用の区は, 塩類濃度障害のため枯死や生育不良が多く発生したが, IBDU成形品についてはほとんど障害がみられず, 多量に施肥を行っても安全であると考えられる。2)土壌中での2年間の溶出試験から, IBDU成形品はその粒径を大きくすることにより2〜3年, または4〜5年の肥効持続が可能であると予想される。3)このような長期肥効の持続する緩効性肥料でありながら, ヒノキの初期生育は旺盛で, 速効性肥料を毎年施用する標準区と同等, もしくはよりすぐれた生長を示した。4)以上のことから, 2〜3年分, または4〜5年分のIBDU成形品の一時施用によって, 省力的林地肥培が可能になるものと思われる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1973-11-25
著者
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渡辺 徹男
三菱化成(株)総合研究所
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渡辺 知之
三菱化成工業(株)商品研究所
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浜本 正夫
三菱化成(株)総合研究所
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加茂 誠一
三菱化成(株)総合研究所
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浜本 正夫
三菱化成工業(株)商品研究所
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加茂 誠一
三菱化成工業(株)商品研究所
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渡辺 徹男
三菱化成工業(株)商品研究所
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黒田 憲康
三菱化成工業(株)商品研究所
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黒田 憲康
三菱化成工業(株)総合研究所
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