土壌の性質と林木の生長(6) : 富士山のシラベとウラジロモミ林

概要

論文の詳細を見る
富士山の西北に面した亜高山帯で, シラベとウラジロモミの造林地をしらべた。標高1600 mにある20年生の混交林において, これらの樹種のあいだに, つぎのちがいがみとめられた。20年までのそだちは, シラベの方がまさる。土のよいところと, わるいところでのそだちは, シラベにくらべてウラジロモミの方が差はすくない。木のかたちとして, おなじ直径であれば, 樹高はシラベの方がたかい。この地帯のあまりよくない土-Bc型のところにうえる木としては, 根のひろがりかたなどから考えて, ウラジロモミがシラベより適していると思われる。1900 mにある18年生のシラベ林は, まえに述べた林より, そだちがわるかつた。この標高のあいだでは, 低いところの方がそだちがよいのかもしれない。ふたつの林の土をくらべると, 標高のひくいところに, 微砂がすくなく, 粘土のおおいこと, および高いところより礫がこまかく, この礫層の上部に盤層がみうけられたことである。土の性質として, これらの木のそだちと関係の深かつたことは, A層の厚さ, 水分の量, 表層の孔隙量, およびこの孔隙のなかでの水と空気のわりあいとであつた。しかし酸度あるいは窒素や炭素の含有量などの, 化学的な性質については, はつきりした関係がみとめられなかつた。
一般社団法人日本森林学会の論文
1959-08-25

土壌の性質と林木の生長(6) : 富士山のシラベとウラジロモミ林

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク