ケヤキ選抜成木の腋芽培養によるクローン大量増殖
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概要
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腋芽を有する節小片を材料にしたケヤキ成木の試験管内大量クローン増殖技術について検討した。800年生および500年生の銘木個体および樹冠が狭く幹が通直な70年生の個体など6個体を材料として, 新梢および切り枝の水挿し萌芽の節小片を外植体とした。初代培養では, 新しく開発した硝酸アンモニウム900 mg/l添加のケヤキ用培地(Z培地)がシュート伸長に適していた。継代培養では硝酸アンモニウム700 mg/l添加のZ培地がシュート伸長・増殖の維持に有効であった。節小片の挿し付け角度および培養容器の大きさと培地量がシュート伸長に影響を及ぼした。継代培養でシュート伸長量の小さいいくつかの系統は, 900 mg/l硝酸アンモニウムを含むZ培地に, 115 mg/lリン酸2水素アンモニウムを加え, さらにBAPと新サイトカイニンの6-{N-[2-(N-メトキシ-N-メチルアミノ)エチル]アミノ}プリンを組み合せて添加することで伸長が促進され, 永続的な増殖に成功した。発根培養では, 葉の付いた節小片ごとに切断し培養することで, 多くの幼植物を得ることができた。幼植物は容易に順化・育苗できた。
- 日本森林学会の論文
- 1998-11-16