山地源流域の流域流量に及ぼすパイプ流の影響

概要

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山地源流域の降雨流出過程にパイプ流は大きく影響する。本研究では流域流量の形成に及ぼすパイプ流の影響を検討するために降雨量, 流域流量, パイプ流量の観測を中・古生層の堆積岩を母材とする0次谷流域で行った。その結果, 本観測流域における雨水流出現象は, 流域末端の湧水点からのみ流出が生じるステージ1,流域末端の湧水点および流域末端から約6 m上流のパイプから流出が生じるステージ2,さらに流域末端から約10 m上流のパイプ群からも流出が見られるステージ3の三つに分類できた。そして, この流出に寄与する部位の変化によりピーク流域流量は段階的に, しかもオーダーで変化することが示された。さらに, 豪雨時のピーク流域流量と流域面積の関係を既往の観測結果と比較した結果, 本観測流域のステージ3におけるピーク流域流量はパイプ流が支配的な流域の一般的な流量であることが示唆された。また一般に, 表面流出が発生せず地中流出が卓越すると考えられる流域のうち, 豪雨時のピーク流域流量が大きいものについてはパイプ流出が卓越する流域であることが示された。
日本森林学会の論文
1998-05-16