土壌動物の群集構造からみた真正クモ類などの捕食者と土壌中のマツバノタマバエ幼虫の関係についての予備的調査
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概要
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日林誌85:1〜6,2003 林床で越冬するマツバノタマバエ(=タマバエ)幼虫の重要な捕食者と考えられている真正クモ類などの捕食者の働きを評価するため,タマバエ被害を確認した茨城県内の被害程度の異なるマツ林で土壌動物相を調査した。調査地は海岸砂地に生育するクロマツ林と内陸の壌土に生育する和華松林である。クロマツ林は,落葉除去などの林分管理がなく落葉層の厚い林分(=放置林)と,これに隣接して林分管理が継続して行われ,落葉層の薄い林分(=管理林)を選んだ。和華松林は,林分管理されていない。土壌中のタマバエ幼虫の個体数は放置林で最も多く,土壌中の動物群数と個体数は和華松林で最も多かった。放置林と和華松林での各動物群の個体数は,ともにF層で最も多いが,和華松林での真正クモ類の個体数は放置林の4.5倍多かったこと,タマバエ幼虫数は真正クモ類の個体数が増加する早春に減少したことから,真正クモ類による捕食がタマバエ個体数を減少させる可能性が示唆された。管理林では土壌の乾燥のため土壌動物の生息には適さず,乾燥自体がクマバエの個体数増加を抑制する可能性が示唆された。
- 日本森林学会の論文
- 2003-02-16
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