九州地域におけるスギ精英樹クローンの生育状況からみた育種区区分
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概要
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育種区を確定するために, 九州育種基本区内の11地域に設定した33カ所の地域差検定林の15年次の樹高データを分析し, 現在の育種区区分の妥当性について検討した。地域間および試験地間の相関関係に基づく検討では, 地域間55組合せ中49組合せで有意な相関がみられた。また, 試験地間では528組合せ中495組合せで有意な相関がみられた。一方, 一部の組合せで相関関係が有意でなかったのは, 一部のクローンの特異的な立地反応の影響であることが認められた。すなわち, 大方のクローンでは地域, 試験地による生育特性に差がないことが明らかとなった。次いで, 分散分析による方法では, 試験地設定時に決定した環境要因に基づいた地域区分による分散分析においても, 主成分分析の結果に基づいた地域区分による分散分析のどちらにおいても, 先の特異的なクローンの影響を除くと地域性を積極的に支持する結果は得られなかった。以上の結果から, 九州育種基本区(南西島育種区を除く)内のスギ精英樹クローンの種苗配布区域を区分する必要はないと考えられた。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1993-11-01
著者
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