冷温帯天然林の樹木の齢構造
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概要
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冷温帯天然林(京都府北桑田郡美山町京都大学芦生演習林)の一つの斜面における齢構造を調査区内全木を伐採し調べた。調査区の斜面上部はスギが優占し, 中, 下部に向かうにつれ広葉樹の優占率が高くなった。スギの齢構造は大きく三つの相に分けられた。第1相は伏条による稚樹の補給相で0〜35年でこの間急激な個体減少を示した。第2相は樹齢35〜100年の間で樹高2mを超え第1相に比べ死亡率は低下し後継木を補給する相である。第3相は樹齢100年以降で林冠が疎開した場合, 上層林冠を形成する林冠形成相であるとみられる。齢構造と成長パターンからスギは小面積内で伏条更新する自己維持的であるとみられる。広葉樹高木種は比較的大きい疎開跡地に更新している。低木種は繁殖様式と齢構造から次のように分けられる。地上茎交代・少産長寿命型(クロモジ), 地上茎交代+伏条・多産短寿命型(コアジサイ, ヤマアジサイ, リョウブ), 伏条・少産長寿命型(イヌツゲ)の3型がある。
- 日本森林学会の論文
- 1990-07-01
著者
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