林地斜面における表層物質の移動(I) : 細土の移動
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概要
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林地斜面に沿う細土の移動量を, 近接したアカマツ+広葉樹林(A), スギ林(S), ヒノキ林(H)で測定した。野鼠の影響を除く年間移動量は, 地被物の量と質の違し・を反映してA〈S<Hとなった。移動量の対数値の, 降水指数(降雨量×最大1時間雨量)の対数値への回帰における相関係数は, Hで高く, 地被物の保護機能の増加に伴い, H→S→Aと低下した。降水指数が小さい降雨時の移動量は緩傾斜・凹地形(緩・凹)く急傾斜・凸地形(急・凸)であり, 豪雨時の移動量はその逆であった。緩・凹における豪雨時の移動量の著しい増加の主因は, 局所的な大量移動の発生であった。Sでの年間移動量は明らかに急・凸く緩・凹であった。これはSの地被物が, 緩・凹における豪雨時の移動量の急増の防止に有効でなかったためであった。IAとHでは, 地形の違いによる年間移動量の差は小さかった。これはAでは地被物の保護機能が高く, 地形や降水指数とは無関係に移動が抑えられたためであり, Hでは地被物の保護機能が低く, 緩・凹における豪雨時の大量移動と急・凸における通常の降雨時の大量移動が相殺したためであると考えられた。
- 日本森林学会の論文
- 1989-12-01
著者
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