アブドゥル・ジャッバールのキリスト教理解 : イスラーム神学における宗教間対話(<特集>イスラームと宗教研究)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
今日、イスラームに関する宗教間対話は緊急の課題であるが、効果的な対話を実施することは難しい。しかし、過去の歴史に学ぶことも重要ではないかと思われる。九世紀から一二世紀のイスラーム神学思想の文献のなかには伝統的イスラーム世界の他宗教観がみられる。本稿は、ムウタズィラ学派のアブドゥル・ジャッバールの主著『神学大全』の研究を通してあきらかになる彼のキリスト教理解を、今日の宗教間対話に役立つ資料として検討する試みである。ムウタズィラ学派は神の属性について独自の理論を展開したが、これはキリスト教の三位一体説のペルソナ理論に近いものである。彼は、三位一体説に関するカルケドン決定と当時の東方教会の立場について的確に把握して批判しており、そこから神の属性論へつながる方法論をたくみに採用している。古典文献の研究にも今日の宗教間対話や平和的共存の構築に寄与できる材料が見つかるように思われる。
- 日本宗教学会の論文
- 2004-09-30
著者
関連論文
- 背教か改革か : イスラームにおける宗教批判のかたち(宗教批判の諸相)
- 異文化としてのイスラーム(2)重なり合う一神教と多神教
- グローバル30と今後の留学生交流--筑波大学の国際化拠点整備事業(グローバル30) (特集 グローバル30と今後の留学生交流)
- 中東・北アフリカ地域の留学生を迎えて--筑波大学北アフリカ研究センターの取組 (特集 大学間交流の促進を図る)
- 異文化としてのイスラーム(3)来世思想は救済のシナリオ
- 異文化としてのイスラーム(1)仏教とイスラームの宗教間対話をめざして
- イスラームと平和--効果的な宗教間対話のために (特集 21世紀・グローバル時代の宗教--民族・国家・非暴力)
- 「野蛮な十字軍」と「好戦的イスラム」という歴史的な溝 (「開戦前夜」一冊でわかる「イラク・ショック」) -- (第4章 中東の「王国・独裁」ドミノ倒しが始まる)
- 「野蛮な十字軍」と「好戦的なイスラム」現代まで続く歴史的な溝--200年にわたるヨーロッパからの大遠征が残したもの (SPECIAL REPORT 「動乱の世界宗教」大事典--イデオロギーの終焉で台頭、乱舞)
- イスラームの女性観--その理想と現実 (特集 イスラーム世界との対話) -- (連続公開講演会より)