背教か改革か : イスラームにおける宗教批判のかたち(<特集>宗教批判の諸相)
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概要
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今日、過激なイスラーム復興思想を支持する人びとの間から、「イスラームの政府」を求める声が強まってきている。彼らはイスラーム主義が今日のイスラーム国家の退廃と停滞を治療してくれ、正義を実現してくれる唯一の「治療薬」であると主張する。彼らが運動の根拠とする「統治権は神にのみある」というスローガンは、自由な市民社会の構築を意図する人びとを竦ませる力をもつ標語であるが、これに対して、現代エジプトの思想家ムハンマド・サイード・アル=アシュマーウィーは身の危険を顧みず果敢に取り組み、公然と反論を表明してきた。彼の思想は、アズハルのウラマーたちからも「背教」的思想であるとして非難され攻撃されている。しかし、聖典やハディースに依拠しながら、歴史的コンテキストに基づいて展開される彼のカリフ制批判や政教分離議論には、近代的社会の形成に不可欠なリベラルな思想がみられる。アシュマーウィーの思想は、最近、エジプトで顕著になってきている啓蒙主義的な思想活動においても何らかの役割を果たすことが注目される。
- 2008-09-30
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