肺癌に対する気管支形成術 : 当科における 12 年間の治療成績の検討(第 20 回日本気管支学会総会)
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概要
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1985年4月から1997年4月までの12年間に83例の原発性肺癌に対し気管気管支形成術を施行した。気管分岐部切除は13例で, 扁平上皮癌11例, 腺癌2例, 病理病期はIIIA期2例, IIIB期11例であった。術中術後合併症はなく, 在院死は認めなかった。術後3年生存率は30.8%, 5年生存率は23.1%であった。気管支管状肺葉切除は70例で, 扁平上皮癌56例, 腺癌10例, 小細胞癌4例, 病理病期はI期14例, II期36例であった。12例(17%)に術後合併症を認めたが, 全例回復した。術後3年生存率は62.0%, 5年生存率は36.7%であった。気管分岐部及び主気管支の肺癌は気道狭窄や閉塞による合併症を発生しやすく, 短期間に状態が悪化することがあるので, 狭窄閉塞の解除, 合併症の治療, 延命のための気道再建は合理的な治療だと考える。気管分岐部形成術の症例は縦隔リンパ節多レベル転移がなく, 重要な臓器に明らかな浸潤がなく, 病巣切除後気道再建できる症例, しかも扁平上皮癌, 腺癌が手術の適応になると考える。気管支管状肺葉切除術は肺葉切除だけでは根治的治療にならない肺門型肺癌症例に対し, 肺全摘を避け, 肺機能を温存しつつ根治性を追及する術式である。非小細胞肺癌のI期, II期, N2症例でも縦隔リンパ節多レベルの転移がない症例が手術適応で, 小細胞肺癌でもI期症例では化学療法併用にて手術適応としている。本報告では以上の症例に対し気管支形成術は有効であると考えられた。
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 1997-12-25
著者
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