臨床研修と気管支鏡(すこ〜ぷ)
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概要
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今年度から始まった医師法改正による初期臨床研修の義務化が始まり,半年が過ぎた.当院では5人が中断(2名は妊娠のため)したが,概ね順調調に経過している.われわれの施設では1年目に基本研修科目である内科6ヶ月,外科3ヶ月および(救命)救急3ヶ月として,2年目に必須科目である小児科,産婦人科,精神科及び地域医療を組み込んでいる.各病院でおのおの幾つかのコースを作成して研修医の興味を引くように選択肢を広げている.当院ではコースは内科系と外科系のみで,上記の必須科目以外に2年目に麻酔科(厚労省では救急部門に含む)を2ヶ月及び2ヶ月単位の選択科目2診療科を組み込み,外科系は小児科を1ヶ月とし整形外科1ヶ月を必須科目とし内科系は小児科を2ヶ月としている.当初90人募集で74人が研修医として採用された.大学病院におけるマッチング率は9.4%〜100%で平均69.5%であり,処遇(時間外手当て,住宅補助,休暇など)も格差があり,給与も12〜30万円とまちまちである.当院でも2年生の研修医が初期臨床研修医の1年目より少ない状況であり,2年目の研修医には当直料も支給されていない.研修医にどこまで,診察,検査,治療を施行させるかは問題がある.たとえば検査として超音波検査は『自ら実施し,結果を解釈できる』項目となっているが,内視鏡検査(気管支鏡は一緒に分類)は『検査の適応判断ができ,結果の解釈ができる』とあり,内視鏡検査は禁忌とされておらず,施設によっては消化器内視鏡検査を選択コースに選んでいる施設もある.しかしながら,気管支鏡検査は患者の苦痛も強く,まずは指導医の指導下で麻酔法から始め,器機の操作に慣れてから施行すべき検査であり,初期臨床研修医の短期のローテーションでは麻酔までで止めるべきであろう.初期臨床研修の目的は医療の専門分化に伴う専門医の育成以前に,少子高齢化,社会の複雑化,多様化のなかで,多様な診療科と地域保険,医療等の素養を,適切な指導体制の下で効果的に,プライマリ,ケアを中心に幅広く医師として必要な診断能力を身につけ,人格を涵養する事であり医療安全への配慮は医療の基本として特に重要で,臨床研修を通じてしっかりと身につける必要がありとしている.しかしながらマンパワー不足で十分な指導体制がとれず到達目標達成困難な施設もあるようで,今後各施設において,よりよい臨床研修施設となるために募集人員調整や十分な指導体制の確立が必要であろう.
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 2004-11-25
著者
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