Colt HG, Crawford SW, Galbraith O., Virtual reality bronchoscopy simulation : a revolution in procedual training., Chest., 2001, 120, 1333-1339
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概要
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気管支鏡検査手技の習得は,実際の検査場面において上級医の手技見学や指導のもとで研修しているのが現状である.気管支鏡検査における種々のエラーを回避する目的で,呼吸器科専門医を目指す5人の初心者(研修医)と,コントロール群としてすでに200例以上の検査の経験を持つ3年目の医師(上級医)4人を対象とし,航空機パイロット養成のシミュレーターを手本とするvirtual reality bronchoscopy(VR)シミュレーター(HTMedica1 Systems)で実技指導を受けた研修医と,このシミュレーターによる研修を経験しないで気管支鏡手技を習得した上級医の技能を比較検討した.初心者に対する研修時間は全過程8時間とし,前半4時間の内訳は,VRシミュレーターの使用方法に関する講習1時間,気道の解剖や病態,気管支ファイバーの使用方法などに間する講習1時間,VRシミュレーターを用いての実技指導2時間とした.その後,1週間以内に行う後半4時間の研修では,実技指導なしにVRシミュレーターを用いて自習を行った.なお,この後半4時間の研修前と終了後に,VRシミュレーターによるテストと,上級医達が研修医時代に使用した気管支鏡練習モデル(Inanimate Bronchoseopy Model: Laerdal Airway Management Trainer;Stavanser. Norway)を用いたテストを行った.一方,上級医に対しては30分間のVRシミュレー-ター使用方法の講習を行ったのち,VRシミュレーターと気管支鏡練習モデルを用いてテストを行い,「検査手技終了までの所要時間」や「気道粘膜への接触回数」,「粘膜発赤箇所」,「気管支分岐命名の誤り」について評価した.結果は,研修医のVRシミュレーターによるテストで「粘膜への接触回数」,「気管支命名の誤り」について,さらに気管支鏡練習モデルによるテストで「気管支命名の誤り」について,講習前後で有意な成績改善を認めた.なお,研修医と上級医との比較では,「検査時問」,「粘膜への接触回数],「発赤箇所」について上級医の方が僅かに高得点(有意差なし)であったが,「気管支命名の誤り」について,VRシミュレーター上で研修医が平均0.8(O〜3)ヶ所の誤りであったのに対し上級医が平均5.25(3〜8)ヶ所で,また,気管支鏡練習モデルでは研修医に全く誤りがなかったのに対して上級医が平均3.2(1〜7)ヶ所と,研修医の方が有意に優秀な成績であった.これまでの研修は被検者相手に侵襲的な検査の中で行っていたのに対し,VRシミュレーターを使用した場合には被検者へ触れることもなく,また,コンピュータのデータ解析や研修時のビデオ録画によって初心者に対しても容易にフィードバックができ,気管支鏡検査手技修得に極めて有用と考えられる.
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 2003-03-25
著者
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