太平洋沿岸諸國に於ける稻胡麻葉枯病の比較研究
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概要
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(1) 本報告は太平洋沿岸諸國に發生せる稻胡麻葉枯病菌 (Helminthosporium Oryzae Breda de Haan) の各種系統に就きて形態生理擧に病理學上より比較研究を試みたる結果なり。特に培養上に於て胞子を形成する日米兩國産菌に就きて精細に比較せり。 (2) 日米兩國産菌により惹超せらるゝ病斑の形状は略々同様にして兩者の間に大差あるを見ず。 (3) 此等兩菌は其形態的性質特に其分生胞子の形態に於ては、著明なる差を有する物なり。日本産菌の分生胞子は倒棍棒状にして基部より三分の一附近に於て最も太く且つ臍は稍々大形にして突出せり。之に反して米國産菌は圓筒又は紡錘形、中央部又は先端より三分の一附近が最も太く其より兩端に向ひて殆んど相稱的に漸尖す。殆んど必ず一方に彎曲す。臍は小形にして餘りに鮮明ならず。概して後者は前者に比して纎細なり。 (4) 單に形態上のみならず生理上に於いても此等兩菌は稍々著しき差を有する物なり。 (5) 此等兩菌を約 480 種の異なれる品種の稻苗に對し接種を試みたり。其結果は兩菌共供試稻苗に對する病原性に於て大差なき物なる事を示せり。 (6) 上記兩系統菌は形態上或は生理上著しき差を有し完く異なる型に屬する物にして或は別種なりと斷ずるも誤りなきが如し。
- 日本植物病理学会の論文
- 1927-07-20
著者
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