トリフルミゾール低感受性Gibberella fujikuroi (Fusarium moniliforme)の諸性質
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概要
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トリフルミゾール(triflumizole, トリフミン【○!R】 : エルゴステロール生合成阻害剤)に対して低感受性を示すGibberella fujikuroi (Fusarium moniliforme)の諸性質, とくに病原性およびジベレリン生産能について検討した。自然感染籾および発病苗から分離した500菌株のうち433菌株(86.6%)は, トリフルミゾールに対してMIC値が10ppm以下であったが, 30菌株(6.0%)は1,000ppm以上であった。1,000ppm以上のMIC値を示す菌株を低感受性菌とした。しかし, これらの低感受性菌のEC_<50>値は1.3ppm以下で, 感受性菌と近似していた。感受性菌と低感受性菌の形態的諸性質は類似していた。感受性菌の分生子懸濁液に籾を浸漬した場合, あるいはイネの開花期に分生子を接種した場合は, いずれも著しい徒長苗を生じたが, 低感受性菌ではほとんど見られなかった。リチャード液体培地で培養した感受性菌は, 低感受性菌よりも多量のジベレリン様物質を生産することが"イネ苗テスト"より明らかになった。また, 高速液体クロマトグラフィーで調べた結果, 感受性菌は低感受性菌の3倍以上のジベレリン(GA_3)を生産した。しかし, フザリン酸については両者の間に差異は認められなかった。低感受性菌のジベレリン生産能の低さが病原力の弱さを反映した。
- 日本植物病理学会の論文
- 1989-07-25
著者
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