ウイルスによるカボチャ台接ぎ木キュウリの萎辺
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概要
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1986年, 香川県下でカボチャ台接ぎ木キュウリに原因不明の萎凋症が発生した。萎凋株の上位葉はモザイク症状を呈していた。萎凋株の上位葉を採取し, ウイルスの種類を調べた。萎凋株は, ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)に単独感染, キュウリモザイクウイルス(CMV)とZYMVに混合感染, CMVとカボチャモザイクウィルス-2(WMV-2)に混合感染, または, CMV, ZYMV, WMV-2に混合感染していた。これらの採取標本をカボチャ台接ぎ木キュウリと自根キュウリに汁液接種した。自根キュウリではまったく萎凋は生じなかった。これに対し, 接ぎ木キュウリでは, ZYMV単独感染またはCMVとWMV-2の混合感染標本を接種すると低率で軽度の萎凋, CMVとZYMVの混合感染またはCMV, ZYMV, WMV-2の混合感染標本を接種すると高率で重度の萎凋が生じた。次に, CMV, ZYMV, WMY-2の単分離株を供試し, 各ウイルスを単独または混合して接ぎ木および自根キュウリに接種した。自根キュウリではいずれの接種でも萎凋はまったく生じなかった。これに対し, 接ぎ木キュウリでは, CMVまたはWMV-2の単独接種, ZYMVとWMV-2の混合接種では萎凋は生じなかったが, ZYMV単独接種またはCMVとWMV-2の混合接種では低率で軽度の萎凋, CMVとZYMVの混合接種またはCMV, ZYMV, WMV-2の混合接種では高率で重度の萎凋が生じた。以上の結果から, カボチャ台接ぎ木キュウリがZYMVに単独感染またはCMVとWMV-2に混合感染すると低率で軽度の萎凋, CMVとZYMVに混合感染またはCMV, ZYMV, WMV-2に混合感染すると高率で重度の萎凋が生ずることが判明した。
- 日本植物病理学会の論文
- 1988-12-25
著者
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