圃場におけるイネ葉上のトリシクラゾールの動態と葉いもち防除効果
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概要
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圃場のイネ葉上における殺菌剤トリシクラゾールの動態と葉いもちの防除効果についてのモデルを構築するために, 薬剤散布後における各葉位別の葉剤付着量の推移および薬剤付着量と発病予防効果との関係を調査した。また, これらで得られたデータの有効性を確かめるために, 本薬剤を散布した圃場における葉いもちの病勢進展を調査した。圃場において二種の時期にトリシクラゾール300g a.i./ha を 15001/ha の水で希釈してイネに散布したところ, 各葉位における葉剤付着量の推移はいずれも減衰曲線モデルに適合した。薬剤散布時に完全展開していた各葉位における薬剤初期付着量の椎定値は生葉 1g 当り 4.39〜19.69μgであり, 半減期の推定値は 2.46〜5.33 日であった。また, 薬剤散布時に一部展開していた葉およびまったく展開していなかった葉からは完全展開時にそれぞれ 2.57 および 0.56μg/gの薬剤が検出された。これらの圃場においてはトリシクラゾール散布後約2週間にわたって葉いもちに対して高い予防効果が認められ, 散布後新たに展開した葉においても防除効果が認められた。ポット試験によると, トリシクラゾールは 0.34μg/gで高い予防効果を発揮するが, 0.20μg/g では効果が判然とせず, 中央有効濃度(EC_<50>)は0.24μg/gと推定された。この試験で得られたトリシクラゾール剤の動態および作用特性に関する量的知見により, 本薬剤を散布した圃場における葉いもちの病勢進展をおおよそ適切に説明できた。
- 日本植物病理学会の論文
- 1992-04-25
著者
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