タバコ立枯病菌の弱病原性バクテリオシン産生株による立枯病の発病抑制
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概要
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タバコ立枯病菌のバクテリオシン産生株(Ps48)から病原性の異なる突然変異株を作出し, それらの菌株をタバコ苗根部に浸潰処理したのち汚染土壌に移植した場合, 立桔病の発病抑制効果は非病原性突然変異株(OMl)よりも弱病原性突然変異株(OM2)を用いた場合で著しく高かった。また, OM2をタバコ苗ヘ処理したのち病原菌を断根接種あるいは株元に灌注した場合でも発病抑制効果を示したが, OM1の場合には断根接種では効果が認められなかった。タバコ苗へ処理したOM2は, 少なくとも16日後までは根面部での生存密度が1O^7〜1O^8 cfu/gで推移し, 植物体内でよく増殖し約1O^7 cfu/gに達した。またこのとき, 茎基部の水抽出試料からバクテリオシンによる抗菌活性が認められた。一方, OM1は処理16日後までにタバコ根圏部で約1O^5 cfu/gに, 根面で約1O^6 cfu/gに減少し, 茎基部からは約1O^2 cfu/gの濃度でしか検出されず, 抗菌活性も認められなかった。OM2を処理しだタバコでは無処理あるいは0M1を処理した場合に比べ, 植物体内への立枯病菌の侵入あるいは増殖が強く抑制される傾向を示した。OM2の産生するバクテリオシンに耐性を示す立枯病菌(Ps48)を供試した場合でも, 感受性菌(Ps29)に比べると劣るが発病抑制効果が認められた。以上の結果から, OM2による発病抑制にはバクテリオシンおよび他の要因が関与していることが示唆された。
- 日本植物病理学会の論文
- 1991-01-25
著者
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