視線の移動パターンに基づくユーザの迷いの検出 : 効果的な作業支援を目指して(<特集>人とコンピュータの新しい相互作用系)
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概要
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情報の電子化が進む現在, 検索システムを用いることで膨大なデータの中から特定の情報を容易に探し出すことができる.ところが一方で情報の増加にともない, あまりにも多くの検索結果が引き出されるという現象が起きている.そのため初心者のみならず, 目的の情報にたどりつけないという状況に陥ることもしばしばである.このようなユーザの迷いの状態をコンピュータが自動検出し, 適切な作業支援を行えばユーザの作業効率が著しく向上すると期待される.しかし, 従来の作業履歴の解析を中心とした作業支援システムでは, ユーザが「迷い」の状態に入ったときに履歴自体の取得が困難になるため, その原因を推定することは難しい.ユーザの迷いを推測するためには, 時間の空白なくユーザの作業を推定する必要がある.そこで, 本論文では視線追跡装置を用いて, ユーザの視線の動きをリアルタイムに測定し, その測定結果よりユーザの迷いを推測する手法を提案する.画面上を移動するユーザの視線には迷っているときに特徴的に現れる視線の一連の規則的な動き, 「視線パターン」が含まれている.このような「視線パターン」を発見するためのN-Gram解析を用いた解析手法と, パターンの発生時のユーザの思考を測定してパターンの意味を検証する手法を提案する.本手法を翻訳課題に適用した結果, ユーザが「迷いの状況」に陥ったことを示す規則的な視線パターンを発見した.さらに, このパターンが生じたときのユーザの思考を測定して, これらのパターンが確かにユーザが迷っているときに生じていることを明らかにした.最後に, これらの結果を利用した「迷い」の状況に応じた効果的な作業支援システムの実現性を検討する.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2000-05-15
著者
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