連立一次方程式の並列処理向き反復解法の収束性と応用
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概要
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本論文では, 係数行列がスティルチェス行列になる場合の連立一次方程式の並列反復解法(並列SOR法)の収束性に関する二つの定理を導き, 実際の並列処理システムヘのその応用について述べる. 並列SOR法は, 多数のプロセッサが互いにメモリを共有し通信できるような並列処理システムを効率的に用いて連立一次方程式を解くために導入する反復解法であり, 現存する多くのアレイ方式の並列処理システムによる偏微分方程式解法に適した方法である. 本論文で得られる定理1は過緩和係数が1における並列SOR法と他のよく知られた三つの反復解法との漸近的な収束速度の大小関係を明らかにする. 定理2は係数行列のある'特定要素が0と抵る場合'に並列SOR法が任意の初期値に対して収束するための必要十分条件を与える. 数値実験では, 定理2における上記の零要素の仮定が満たされない場合には並列SOR法は収束が遅く, また必ずしも収束しないことを示し, この仮定が実用上も重要であることを示す. そこで, この仮定がアレイ方式の並列処理システムによる偏微分方程式解法においてどのように満たされるかを差分法, 有限要素法の場合についてそれぞれ具体的に示す. この仮定は上述のような並列処理システムによる実際の反復計算では'比較的容易'に満たされることがわかる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1982-07-15
著者
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