感覚述語におけるゼロ目的語の推定
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概要
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代用表現解釈の処理は語用論的原則を取り入れる方向に動いているが,本稿はその1つの場合として感覚文のゼロ目的語同定について考える.感覚文のゼロ目的語は,文の時制または感覚述語を変えることによって,その解釈が変わる.このような現象を説明するためには,従来の代用表現同定の枠組では不十分であり,ゼロ目的語解釈に際しては感覚の持つ性質を利用しなければならない.本稿でわれわれは感覚述語を異なるゼロ目的語の読みのパターンを生じる3種類に分類する.これら3種類の感覚は,その感覚の対象,および感覚が発生する過程についてそれぞれ差異があることを述べる.感覚の対象が異なることは,ゼロ目的語解釈の際に制約として機能する.また,感覚の発生する過程は言語上に談話構造として反映されており,これもゼロ目的語の読みに影響する.このような感覚の性質に起因する制約を用いることにより,感覚文のゼロ目的語についてわれわれの直観に沿った解釈を導出することができることを示す.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1993-03-15
著者
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