ドライビングシミュレータにおける運転判断エラーのID3による解析
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概要
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本論文では, ドライバが起こすエラーを解析するために, エラー発生の原理として認知的コスト最小化について述べ, 帰納学習法の1つであるID3によりドライバの判断過程を決定木として表しエラー (ブレーキ操作判断の遅れ) が予測できることを示す. 近年の交通事故の増加から予防安全システムに対する期待が高まっている. 実効的な予防安全システムにするためには, ドライバとのインタフェースのあり方が課題となる. そこで, 本論文では, エラー発生の観点からドライバの判断過程を解析することを試みた. まず, ドライビングシミュレータ実験で, 先行車に追従中にエラーを誘発させる場面を入れた課題を被験者に課した. 次に, エラーを誘発させる場面を除いたデータから被験者の判断過程をID3により推定し, それによりエラーを誘発させる場面で生じるエラーが予測できるかを評価した. そして, 被験者8名のうち2名について推定した判断過程において, 脇見やぼんやりなど先行車に対する不注意によるブレーキ操作判断の遅れが予測された. また, 被験者のうち1名がこのようなミスにより先行車に追究し, 認知的コスト最小化の原理によるエラー予測の可能性が示唆された.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1997-05-15