TCCT : タイマを柔軟に制御可能な時間付きプロセス計算
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概要
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本発表では,時間付きプロセス計算系TCCTを導入する.本計算系がモデル化の対象としているのは,様々なイベントが発生する中においてイベントの発生時刻や種類等の履歴がその後の状況に重要な影響を及ぼしうるような現象を制御するための機構である.上記のような現象において重要な要素であるイベント発生時刻や発生後の経過時間といった発生イベントの時間に関する情報を扱うためには,1つのプロセスに対して複数の時間に関する制約を精密に制御することが必要である.したがって,本計算系においては,プロセスに対してラベル付きタイマを付与することができ,各タイマをそのラベルを指定することで個別に制御することが可能である.多くのプロセス計算では,対象としているものすべてをプロセスで表現する.一般的に,時間付きシステムは巨大で非常に複雑であるため,それらを表現したプロセスも同じように巨大で複雑なものになる.しかしなから,TCCTでは,そのようなシステムは,単にイベント発生源と見なされる.このことは考察対象の簡潔化に役立ち,結果として,扱うプロセスもより簡潔なものとなる.本発表では,単に本計算系を形式的な計算モデルとして論じるだけでなく,本計算系を用いてある認識デバイスを実装し,その実用性も示す.また,本計算系の数学的な性質として,プロセスのある適当なクラスに対して,通常の双模倣性(bisimulation)に基づいた等式が,任意の文脈において保たれることを示す.
- 社団法人情報処理学会の論文
- 2003-03-15
著者
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