後期三畳紀二枚貝 Monotis の古生物学的意義 : その 2-南部北上山地の材料を例として
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概要
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南部北上山地歌津地域の皿貝層群より産出した標本を用いて行なったMonotisの検討結果は以下の4点にまとめられる.1) 殆ど離弁しているが多くの完全な殼が密集した, 極めて排他的な産状を示す.通常の二枚貝とはかなり異なる特異な生態を思わせるが, 直接生態を裏付ける産状は見当たらない.2) 白山沢セクションより得られた集団標本は, 生物測定学的手法を用いて種内変異を考慮すると, 下位よりM. scutiformis, M. ochotica densistriata, M. ochotica ochotica, M. zabaikalicaの3種1亜種に分けられる.各層準の産出個体は殆ど1種から成る.各種の産出から4つの化石帯が認められる.3) M. zabaikalicaの個体成長, 各種の平均成長を殼長, 殼高, 前部の長さについて検討したところ殼長5mm以上の成長段階では変異点は認められない.急激な生態的変化を暗示する殼成長の急激な変化は殼長5mm以上では存在しない.4) 放射肋数は時間的に減少する傾向が顕著である. M. ochoticaの中では徐々に1次肋数が減少する. M. zabaikalicaでは急速に放射肋が少なくかつ弱くなり, 同心円肋が発達するようになる.この方向性をもった形態変化から, M. scutiformisからochotica, zabaikalicaに至る進化が予測される.しかしこれらが単純な一つの進化系列をなすかどうかについてはより広汎な地域の資料にもとづいて検討を重ねる必要がある.
- 日本古生物学会の論文
- 1984-06-25
著者
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