地球温暖化防止対策と野生生物の保護について(生態系保全学)
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概要
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野生生物の減少や絶滅が急激に進行している現在, 野生生物の保護管理は, ますます重要な課題となりつつある。絶滅が危惧されている野生生物の減少の原因は, 主にこれらの生息地の悪化や減少であるとされている。そのため, 生息地の維持確保は, 野生生物の減少や絶滅をくい止める上で大きな効果が得られると期待できる。さらに, 野生生物が生息可能な自然環境を復元させていくならば, より大きな効果を得るだろう。一方, 地球温暖化問題は, 陸域生態系と深い繋がりがある。1990年代には, 人間活動により, 炭素換算で年間平均6.3Gt Cの二酸化炭素が大気中へ放出された。そのうち3.2Gt Cが大気へ残り, 1.7Gt Cが海洋へ吸収され, 残りの1.4Gt Cは陸域生態系へ吸収された。このように, 陸域生態系は炭素の吸収源として大きな役割を担っているので, この吸収能力は「気候変動に関する政府間パネル」において地球温暖化防止対策として有効視されている。このような陸域生態系を野生生物が生息可能な土地として復元させるなら, 双方の問題を早期解決へと導くであろう。
- 日本野生動物医学会の論文