常盤炭田上遠野地域の中新統中山層産貝化石群集
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概要
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中山層の海成堆積物の岩相と各タイプの群集の位置を示したものが, 図10である.北西-南東方向に海岸線が伸び, 海域は北東に広がっていた.常盤炭田上遠野地域には, 中山層堆積時に卓越した内湾的環境が形成され, 潮間帯種が広く分布していた.潮間帯群集には, 3つのタイプが識別され, それぞれ特徴的な地理的位置を占めていた.タイプIの群集, すなわちArcid-Potamid群集は, 図10に示す様に中山層分布域の北西縁に位置し, 湾奥の河口部にできたマングローブ・スワンプの前面の低潮線付近を占めていた.タイプIIの群集は, 河口の側方の海浜に沿ってできた潮汐低地, 又は図10に示すタイプIIIの群集との位置関係から, ラグーンの陸側の潮汐低地を占めていたと考えられる.タイプIIIの群集は, タイプIIの群集のより沖側, つまり堤州(barrier beach)の潮汐低地面に存在した群集であろう.沖合の砂底には, Dosinia nomurai, Diplodonta ferruginata等の浅海棲種が生息し, 流路に沿って沖へ運ばれた潮間帯種と混合して, タイプIVの群集が形成された.タイプI〜IIIの群集にはVicarya yokoyamai, タイプIVの群集にV. callosa japonicaが含まれ, 両種は異なる生態的位置を占めていた.
- 日本古生物学会の論文
- 1984-11-16
著者
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