800. 古琵琶湖層群伊賀累層の鮮新世淡水生腹足類
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概要
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三重県上野盆地と阿山丘陵には, 湖沼河川成堆積物からなる古琵琶湖層群下部の伊賀累層が分布している。伊賀累層は, 日本非海成鮮新統の中では保存良好な淡水生物化石(珪藻, 海綿, 貝類, 魚類, 爬虫類)や陸上生物化石(大型植物, 哺乳類)を産出する。貝類化石はタニシ類, イシガイ類が古くから知られていたが, 詳細な分類学的研究はなく, 琵琶湖固有種などの現生種に同定されることが多かった。今回, 大山田・佐那具地域の伊賀累層からイシガイ科の二枚貝類と共産した腹足類化石を検討した結果, 次の4属(内1新属)4種(内3新種)を識別し, 記載を行い新属Igapaludinaおよび亜属Biwamelaniaを各々創設および再定義した : Igapaludina stricta (Araki), Bellamya suzukii (nov. sp.), Tulotomoides sanaguensis (nov. sp.), Semisulcospira (Biwamelania) praemultigranosa (nov. sp.). Bellamya属はアフリカ, 東南アジア, 東アジアに, Semisulcospira属は東アジアに分布する。IgapaludinaとTulotomoidesは絶滅属である。これらの腹足類は, 日本の鮮新世腹足類の構成内容及び中新世以降の淡水生腹足類の変遷, 系統を解明する上で極めて重要な資料である。
- 1985-09-30
著者
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松岡 敬二
Toyohashi Museum of Natural History
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松岡 敬二
Department of Earth Sciences, Faculty of Science, Nagoya University