799. 五城目一男鹿地域の大桑一万願寺動物群の貝化石群集
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概要
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秋田市北方の五城目-男鹿地域に分布する鮮新一下部更新統中の貝化石の分布が, どのような環境要因に規制されているかを検討した。貝化石の多くは自生〜準自生と考えられるもので, それらは6つの群集に分けられる。各群集は地層中で層序的, 岩相的に異なった部分にあらわれ, 水深及び底質と次のような関連をもって分布していたと推定される。すなわちPalliolum群集は最も深いタービダイトの堆積するような海盆の底にあらわれ, Nuculana群集は次に深いシルト質の部分を占めていた。Acila-Turritella群集はNuculana群集より浅く, またより粗粒なシルト〜細粒砂底に生息した。Macoma tokyoensis群集とProtothaca群集は密接に伴なってあらわれ, 共に最も浅い細粒砂の部分を占めていた。Thyasira bisecta群集は様々な層準と岩相に出現し, 広い環境耐性をもっていたらしい。Acila-Turritella群集のなかでAcila nakazimaiとTurritella saishuensisは稀にしか共存せず, 層序的に交互に産出する。この2種の産状と浮遊性有孔虫のNeogloboquadrina pachydermaの巻き方向には関連があり, 2種の交互の出現は気候変化による海水準変動に規制されていたらしい。32種の腹足類と3種の掘足類を記載した。
- 1985-09-30