920. 宮古層群におけるサンゴ-厚歯二枚貝ビルドアップの発見
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概要
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岩手県田野畑村明戸近傍の宮古層群基底部に, 自生の造礁性サンゴ類と厚歯二枚貝よりなる石灰岩を見いだした。この石灰岩は砕屑物を多く含む小規模なもの(50×20×1m)である。ビルドアップは, 一部では主にサンゴが, 別な部分では主に厚歯二枚貝が枠組を造る。厚歯二枚貝のビルドアップは東アジア初の記録である。これは, 厚歯二枚貝類の礁状構造の分類によると"コピス"にあたり, アプチアン後期には熱帯-亜熱帯海域の北限が東北日本にまで及んでいたことを示す。多量の砕屑物の供給が大規模な礁の発達を妨げ, 小規模のビルドアップのみが, 海進期に一時的に, それも局所的に発達したと考えられる。このビルドアップは, 大陸地域の大規模なサンゴ礁や厚歯二枚貝礁とは非常に異なった例を提供している。
- 日本古生物学会の論文
- 1991-06-28