763. 高知県横倉山から得られた中期古生代の Palaeoscenidiidae 科 (放散虫)-その 1
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概要
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Palaeoscenidiidae科は, 最も基本的にはmedian barの両端から放射する8本のspineからなる, 極性を持ったspiculeで特徴づけられる。8本のspineは4本ずつの短いapical spineと長いbasal spineからなる。ただし, apical spineは1本にまで減少することがある。Palaeoscenidiidae科の多くの種でapical spineのうち1本が特によく発達することが認められる。それぞれのspineは, その特によく発達したapical spineとmedian barに対する位置関係から, それぞれ識別することができる。この識別はPalaeoscenidiidae科の骨格構造および分類を検討する上で有用である。Palaeoscenidiidae科はPalaeoscenidiinae亜科およびPentactinocarpinae亜科を含む。前者はPalaeoscenidium, Archaeosemantis, Parentactinia, Pactarentinia n. gen., Tlecerina n. gen. の各属を含み, わずかに疑問はあるものの, Sepsagon, Parasepsagonの両属も含むと考えられる。Palaeoscenidium?, Parentactinia, PactarentiniaおよびTlecerinaの5新種と2未定種を記載した。Parentactinia, Pactarentinia, Tlecerinaの3属は簡潔に言えば格子殻を持ったPalaeoscenidiumで, それらは格子殻の発達の程度によって区別される。つまり, Parentactiniaでは格子殻はbasal spineの下に位置し, Pactarentiniaでは格子殻がbasal spineの一部を覆う。また, Tlecerinaではspicule全体が格子殻に覆われる。記載された放散虫は横倉山のG_4中部から得られた珪質頁岩の1標本から抽出された。地質時代はG_4と上下の含化石層との層序関係, および既知の古生代放散虫との比較から早〜中期デボン紀と推定される。
- 日本古生物学会の論文
- 1983-07-15