711. 本邦産二畳紀"層孔虫"の再検討
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概要
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層孔虫類は古生代型と中生代型とに大別される。前者はオルドビス紀中期に出現し, シルル紀・デボン紀に造礁生物として繁栄したが, その地史的分布について, 特に分布の上限に問題がのこされてきた。従来世界の二畳系から, 古生代型層孔虫として5属5種報告されているが, その中4属4種が本邦産である。今回その模式標本を再検討した結果, 保存不良又は同定の誤りにより, いずれも真の層孔虫とはみなしえないことが明らかとなった。残りのイタリー産のものもMONTANARO GALLITELLI (1954)が指摘したようなStachyodesとの類似性はみられない。一方WAAGEN and WENTZEL (1887)がSalt Rangeの二畳系から層孔虫として報告したDisjectopora他のグループはいわゆる古生代型とは異なる骨格構造をもっている。これが中生代型(又はsphaeractinoids)とどういう関係にあるかは今後の問題である。以上のデータ以外に, 二畳系から真の古生代型とみなしうる層孔虫の報告例がない事もあわせ考えると, 古生代型層孔虫は少なくとも二畳紀以前に絶滅したものと推定される。
- 日本古生物学会の論文
- 1980-04-30
著者
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森 啓
Institute of Geology and Palaeontology, Tohoku University
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森 啓
Institute Of Geology And Paleontology Tohoku University