694. QUATERNARY OSTRACODA FROM KISARAZU NEAR TOKYO
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概要
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房総半島東京湾沿岸, 木更津周辺地域の海成更新統より産出する介形虫の群集構成を明らかにするため, まず露頭での岩相, 層序関係, 貝化石と砂管の産状等の観察に基いて古環境の復元を試みた。当地域には2つの堆積輪廻が認められる。下部の輪廻(B→E)には親潮型の貝化石が, 上部(F→H)には黒潮型の貝化石が多く産出する。下部輪廻上部のD礫層と部層の下部は, 付近の河のデルタの末端部らしい。上部輪廻のG砂層はほぼ下末吉海進期に相当する。3種類の介形虫化石群集が識別される。i)内湾砂底の群集は, B, C, E部層中に見られ, 内湾砂底の種の他に岩礁地の潮間帯, アマモ場, 内湾泥底に生息する種も混合している。ii)内湾泥底群集はFシルト層中に見られ, その種の多様性は低く, 泥底を這う3種が全群集の90%を占める。iii)シルト質砂底群集は, Cシルト層中の砂のレンズおよびG砂層とH部層中に見られ, 水深20〜50mのシルト質砂底に生息する種の他に浅海のさまざまな環境より流入した種を含み, 異地性群集である。Cシルト層の群集はParacytheridea bosoensisを主体とするのに対し, G砂層, H部層のものは, Loxoconcha laetaを主体とする点で差異が認められる。8新種Pseudopsammocythere tokyoensis, Ambostracon ikeyai, Coquimba ishizakii, Actinocythereis kisarazuensis, Lixouria nipponica, Buntonia hanaii, Paracytheridea bosoensis, Cytheroma? hanaiiを記載し, 1種(Cornucoquimba tosaensis (ISHIZAKI, 1968))を再記載した。Pseudopsammocythere, Ambostracon, Lixouriaの3属の産出は日本からは最初の報告である。
- 日本古生物学会の論文
- 1978-12-30