679. 瀬戸川層群産の貝化石群
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概要
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瀬戸川層群は化石に乏しく, これに関する報告は多くないが, 小野は地質調査の傍ら, 同層群中部の滝沢層下底にある玄武岩熔岩の直上から数十点の保存のあまりよくない貝化石を採集した。この中から巻貝6種, 二枚貝8種を識別したので報告する。この内, スソキレガイ類の一種は新種と認められたのでEmarginula tokuyamaiと命名し記載した。この化石群集は, かって水野(1956)が簡単に記述したことがある。巻貝種に富むこと, 表生・内生の二つの異った群集型の混合を示すことを特徴とする。棲息域はおおむね下部浅海帯と推定され, 海底熔岩とそれから派生した角礫などが構成する底質に伴う表生種群及びやや異った場所の砂泥底に伴う内生種群が混合したものと考えられる。巻貝, 付着性二枚貝などの表生の種群が卓越するためか, 元来, 内生の二枚貝を主とする同時代他地域の貝化石群集と共通する種は少いが, 傾向としては古第三紀の浅貝-幌内型動物群との近似性が認められる。
- 日本古生物学会の論文
- 1977-06-30
著者
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小野 進
Japan Petroleum Exploration Co. Ltd.
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岩崎 泰穎
Department of Geology, Faculty of Science, Kumamoto University
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岩崎 泰穎
Department Of Geology Faculty Of Science Kumamoto University