650. 小笠原始新統産の貝化石 2 種について
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概要
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小笠原諸島母島に分布する, 始新統の含貨幣石砂岩及び祖粒でやや石灰質の堆積岩から産出する貝化石のうち, かつてミノガイ科ミノガイ属の二枚貝として記載され, 左右不等殻であることを特徴としたメオトミノガイは, 新たに検討を加えた〓歯の形状なども含めて, ウミギク科の種の形態的特徴に共通する点が多い。また殻の形態がヨーロッパ上部白亜系産のSpondylus spinosus (SOWERBY, 1812)に著しく類似することから, 同様な機能形態を有し似たような環境に適応したと考えられるが, 直接, 系統的に結びつく資料はない。棲息時の形態を復元し再記載する。同時に採集されたアマオブネ科の1種と思われる巻貝については, 始新統に特有のVelatesよりもむしろ現存するカノコガイ類に近い形態が認められる。しかし現生の同類より大形であり, 保存状態がよくないので属種名は確定していないが, 現状を概略記載する。両種とも殻の内層に相当する霰石層は溶脱し, 表面の方解石層のみ保存されているので, 形質の一部が失われており, かつ見かけの殻は薄くなっている。
- 1975-09-20
著者
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岩崎 泰頴
(元)熊本大学
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岩崎 泰頴
熊本大学理学部
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岩崎 泰頴
Geological Institute Faculty Of Science University Of Tokyo
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岩崎 泰頴
熊本大学
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