571. 赤道太平洋の深海軟泥中の石灰質超微プランクトン
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概要
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1968年1月東京大学海洋研究所の研究船・白鳳丸が赤道太平洋(KH67-5-St.21 : 南緯00°39.6′, 東径160°36.7′, 深度2940m)から採取した有孔虫軟泥中の石灰質超微プランクトンについて報告する。軟泥の大部分はGrobigerinaceaeからなり, これ以外はほとんどCoccolithophoridよりなっている。この軟泥中から電子顕微鏡観察により28種の石灰質超微プランクトンを記載した。光学顕微鏡下ではさらに2種が確認されている。本試料の採集された南赤道海流域からはHASLE (1959)が32種の現棲のCoccolithophoridsを報告しているが, 本試料中よりそのうち6種が見出されている。またKAMPTNER (1963)が本海流域の鮮新世から現世におよぶ2本のcore試料から41種のCoccolithophoridsを報告しているが, そのうち9種が本試料中に見出される。同時に彼が赤道反流域のcoreから報告している8種のうち4種が, 北赤道海流域のcoreおよびdredge試料より報告している35種のうち3種が本試料中のものと共通している。量的にはKH67-5-St.21試料のナノプランクトン群集の76%はCyclococcolithus leptoporus (MURRAY & BLACKMAN), Gephyrocapsa oceanicaとUmbilicosphaera mirabilisの3種からなるが同じ白鳳丸KH67-5-St.23 core試料(北緯00°49′, 東経164°00′, 深度4330m, コア長271cm)の表層部ではCycl. leptoporus (MURRAY & BLACKMAN), Ellipsoplacolithus productusとGephyrocapsa apertaの3種で全体の88%を占め, G.apertaのみで51%に達する。St.23 coreではこのような構成がコア長271cmにわたりほとんど変化しない。また絶対個数では軟泥の湿重1g当り3×10^9個程度に達する。同じ海流域についてみてもこのような現棲種群や試料ごとの共通種の原因はBRAMLETTE (1961)の言う5000m/10年というような沈降速度とその間における海流の循環, 混合, 表層海流と深層海流のちがいや気候変化などに求められよう。MCINTYRE & BE (1967)とMCINTYRE & LOUISE (1969)は太西洋と太平洋でCoccolithophoridについてそれぞれ5つのfloral groupを区別したが, それによると本試料中のCoccolithophorid群集はtropicalないしsubtropical assemblageの様相を示す。
- 1970-12-20
著者
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西田 史朗
Department of Earth Science, Nara University of Education
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西田 史朗
Department Of Earth Science Nara University Of Education
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