相模湾産タラバエビ科の2種について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
相模湾西域の水深80〜100mの海底から,トラップにより採集された2種のエビ(タラバエビ科)の報告である。両種はDr.L.B.HOLTHUISにより同定された。1.Parapandalus spinipes(BATE),オキノスジエビ 額角は甲皮の長さの1.4倍から2.5倍に達し,細長く,上縁には50〜75の小歯を数え,始めの2〜6歯は甲皮上にあり,下縁は35〜55の小歯が密に並んでいる。触角上棘・前側棘は鋭い。胸脚は長く,特に第3・第4・第5胸脚は著しい。第1胸脚は第3顎脚・第2胸脚よりも長い。第2胸脚は鉗脚で,鉗は小さく,腕節は19〜26の環節となる。普通では,3〜第5第胸脚の前節は腕節より長く,指節は短かく内側に1棘がある。胸脚には副肢がない。生時の色彩は鮮かである。額角は濃赤色。体には4本内外の濃赤色に縁どられた白帯が縦走する。第1触角・第2触角のべん状部は白色である。模式標本産地は北部ニューギニアの水深約300mの海底である(BATE,1888)。相模湾では,DOFLEIN(1902)の逗子,福浦,伊東沖からの報告が最初である。2. Plesionika longirostris(BORRAOAILE) このエビは前種と似ているが,次の形態で区別できる。額角はオキノスジエビのように長いが,基部で明らかに下方へ曲がり,その後上方へ延びる。額角の上縁基部にはやや大きい2〜5歯が間隔を置いて並び,その始めの1〜2歯は甲皮上にあり,下縁には小歯が密に並ぶ。胸脚は前極にくらべ短かく,第1〜第4胸脚には副肢があり,第3〜第5胸脚の指節は内側に4棘がある。生時の額角は濃赤色。甲皮前半部には,正中線に沿って1対の白帯が,腹部には,濃赤色の6本前後の縦帯がある。第1触角のべん状部は白色,第2触角では赤色である。模式標本産地はニューブリテン-大洋州(BORRADAILE,1899)で,その後南アフリカ沖から採集されてい,る。日本では始めての記録である。
著者
関連論文
- 黒島(沖縄県八重山諸島)の陸封潮溜りに生息するヌマエビの一種について
- サンゴイソギンチャクにおけるZooxanthellaeについて
- オオシロピンノPINNOTHERES SINENSIS SHENの雄にあらわれた間性について
- メダカOryzias latipes(TEMMINCK et SCHLEGEL)に寄生する撓脚類の1種イカリムシLernaea elegans LEIGH-SHARPEについて
- ヤマトオサガニMacrophthalmus japonicus DE HAANの鉗脚にあらわれた奇形について
- 相模湾産タラバエビ科の2種について
- アカイソガニCyclograpsus intermedius ORTMANNのSacculinizationについて
- 相模湾のスナホリガニ類の生態とハマスナホリガニHippa truuncatifrons (MIERS)(スナホリガニ科・十脚目・甲殻綱)の後期発生について
- 相模湾西城から採集された小えびと貝の2珍種について
- イソギンチャクの一種Haliplanella? sp. (Acontiaria, Actiniaria)における足盤分裂
- ヒライソガニGaetice depressus (DE HAAN)の付属肢における組織移植と再生(予報)
- ヒライソガニGaetice depressus (DE HAAN)の胸脚除去と脱皮周期
- 新岬海岸の動物I
- 口絵解説