インドネシアにおける猛禽類の研究と保護の推進(<特集>日本の野生動物医学、万国津梁の礎 : 日本と近隣諸国における国際共同調査・研究)
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概要
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1995年からインドネシアのジャワ島において,ジャワクマタカ(Spizaetus bartelsi)の調査と保護の推進に取り組んだ。ジャワクマタカは生態系の食物連鎖の上位に位置するアンブレラ種であるとともに,インドネシアの国鳥でもあり,その調査・保護体制の確立はインドネシアの野生生物や自然環境保護の推進に有効であると考えた。インドネシアをはじめとするアジア地域の自然は生物多様性に富み,生息する猛禽類の種類も多いが,その研究はほとんど行われていなかった。猛禽類の調査・保護体制を確立するためには,(1)地元住民や関係機関の連携による自主的な活動体制の構築,(2)海外からの支援に依存しない自立した活動を継続して実施できる経済的基盤の構築,(3)人材育成が不可欠であると考えた。インドネシアの政府機関,JICAのインドネシア生物多様性保全計画プロジェクト,NG0,学生,地元住民との9年間にわたる継続的な取り組みの結果,猛禽類の存在意義の定着のみならず,関係機関の連携による自発的な猛禽類の調査・保護活動が実施されるに至った。さらに,地元住民とNGOが一体となったエコツアーの開催,国立公園職員による調査結果に基づく国立公園の範囲拡大なども検討され始めた。
- 日本野生動物医学会の論文
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