1990年代のアジア諸国におけるBOT方式民活インフラ整備の活発化
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概要
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最近,PFIの日本への導入に関する議論が活発化し,1980年代からアジア途上国に導入されたBOT方式民活インフラ整備への関心も高まってきている.本稿では,アジアBOT方式の仕組み及びアジア途上国への導入を概観する上で,1990年代のアジア諸国におけるBOT方式民活インフラ整備の特徴及びそれに関する問題点を明らかにし,合わせてアジア途上国における課題についても論じる.これまでの研究では,1980年代以降のアジア諸国における民活インフラ導入の背景として,一般に公的部門の資金不足と公的部門の事業進捗上の非効率性に注目していた.本稿では,1980年代後半からのアジア諸国の外資政策の変化と先進国における民間公益事業のノウハウの蓄積という二つの点について注意を喚起し,アジア途上国BOT方式の外資導入策としての性格を指摘する.すなわち,この二つの点を背景に,1990年代,アジア諸国においてBOT方式インフラ事業が外資導入の方策として一気に活発化してきたのである.プロジェクトの組成から運営までほとんど外国企業によって行われ,投資,融資も主に外国から調達してきた.外国民間企業の資金,技術,経営ノウハウを活用することにより,資金や技術の不足に悩んでいたアジア途上国は公的債務負担を増やすことなく,より多くの経済インフラを効率よく整備し得るようになった.しかしながら,1990年代のアジアBOT方式が外資導入策としての特徴があることから,為替変動リスクと外貨交換リスクの発生,ポリティカルリスクの増大,リスク対応システムの未形成,BOT関連法政策の不足,インセンティブの付加,インフラ利用料金の上昇など多くの問題が発生してきた.これらの問題を解決し,EOT方式をインフラ整備の有効な手法として確立させるには,途上国政府における理念方針の転換及び相応する取り組みが求められる.
- 2004-03-31
著者
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